「事業用自動車安全通信」第211号(H25.8.23)

=はじめに=

このメールマガジンは、国土交通省において収集した事業用自動車に関する事故情報等のうち重大なものについて、皆様に情報提供することにより、その内容を他山の石として各運送事業者における事故防止の取り組みに活用していただくことを目的として配信しています。

 

=目 次=

1.重大事故等情報=3件(8月16日~8月22日分)

(1)乗合バスの車内事故

(2)タクシーが乗用車と衝突し、その弾みで歩行者を撥ねた事故

(3)トラックの運転者が酒気帯び運転で事故

2.事業用自動車の運転者の健康状態の確認等安全管理の徹底について

3.「自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会報告書」(平成24年度)の公表について

4.高速乗合バス及び貸切バスの交替運転者の配置基準の策定について

5.トラックの保有車両数が5両未満の営業所でも運行管理者の選任が必要となります!

6.関越道高速ツアーバス事故を受けた「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」について

7.国土交通省で作成したマニュアルを集約しました!

8.平成25年度事故防止対策支援推進事業を実施します!

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【1.重大事故等情報=3件】(8月16日~8月22日分)

 

(1)乗合バスの車内事故

8月18日(日)午後6時20分頃、大分県において、同県に営業所を置く乗合バスが乗客3名を乗せて運行中、乗客1名(女性、78歳)が転倒した。

この事故により、当該乗客が急性硬膜下血腫の重傷を負った。

事故当時、当該乗合バスの運転者は、バス停で乗車した乗客が全員着席したと思い当該バスを発車したが、まだ着席していなかった当該乗客に気づき、慌てて急ブレーキをかけたところ、当該乗客が転倒した模様。

 

(2)タクシーが乗用車と衝突し、その弾みで歩行者を撥ねた事故

8月19日(月)午前9時20分頃、神奈川県において、同県に営業所を置くタクシーが空車で走行中、乗用車に衝突され、その弾みで左側の歩道に乗り上げ、歩道にいた歩行者を撥ねた。

この事故により、当該歩行者が死亡し、当該タクシーの運転者が軽傷を負った。

事故当時、当該タクシーは交差点を赤信号で停車、信号が青になったため直進したところ、当該タクシーからみて右方向から信号無視をして交差点に進入した当該乗用車に衝突され、その弾みで左側の歩道に乗り上げ、歩道にいた歩行者を撥ねた模様。

 

(3)トラックの運転者が酒気帯び運転で事故

8月19日(月)午後10時頃、静岡県において、同県に営業所を置くトラックが走行中、渋滞のため停止していた前方の乗用車に追突し、その弾みで当該乗用車が前方の乗用車に追突した。

この事故により、当該乗用車2両の乗員のうち、それぞれ1名の計2名が軽傷を負った。

当該トラックの運転者からは、呼気1リットル当たり0.15ミリリットルを超えるアルコールが検出され、道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕された模様。

 

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【2.事業用自動車の運転者の健康状態の確認等安全管理の徹底について】

 

平成25年7月5日

 

旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)では、旅客自動車運送事業者は、乗務員の健康状態の把握に努め、疾病等の理由により安全な運転をすることができないおそれのある乗務員を事業用自動車に乗務させてはならないと規定するとともに、乗務しようとする運転者に対して、点呼を行い、疾病等の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無を確認しなければならないことが規定されています。

このような関係法令の遵守や自主的な取組みの励行については、これまでも通達等を発出し、対策の実施をお願いしてきたところですが、そのような状況にも関わらず、引き続き運転者の健康面での問題に起因する事故が依然として発生している状況にあります。

具体的には、平成25年7月1日、三重県亀山市の東名阪自動車道において、貸切バスが乗客31名を乗せて運行中、当該バスの運転者が突然意識を失い、蛇行走行しながらガードレール、側壁に衝突し、乗客3名がハンドル、ブレーキ操作等を行い停止させた事故が生じています。

また、平成25年7月4日、宮城県蔵王町の東北自動車道において、高速乗合バスが乗客8名を乗せて運行中、中央分離帯に衝突し、運転者が心肺停止状態で病院に搬送、交替運転者及び乗客1名が軽傷を負う事故が発生しており、運転者が何らかの原因により心肺停止状態となったことでバスが制御できなくなったと考えられています。

さらに、原因等について調査中ですが、同日、栃木県那須塩原市の東北自動車道において、高速ツアーバスが前方を走行していた車載トレーラに追突し、運転者1名が死亡、交替運転者1名及び乗客14名が負傷する事故が発生しています。

これらの事故の詳細は調査中ではあるものの、現在、「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」を推進していることも踏まえ、特に下記の事項について改めて徹底を図るよう貴傘下会員に対して周知方よろしくお願い致します。

 

 

1.点呼の際、運転者の疾病等の状況、医薬品の服用状況等の健康状態の確認を徹底するとともに、異常が認められた場合には、運転者を交替させる等、適切な運行管理を図ること。

また、運転者が乗務中に体調に異変を感じた場合には、速やかに運行管理者へ連絡して指示を仰ぐべきことを徹底するとともにそのための連絡体制を確立しておくこと。

 

2.労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づく健康診断を受診させ、また、当該健康診断等により運転者の健康状態に異常が確認された場合には、医師の診察を受けさせるなど運転者に対して適切な指導を行うこと。

 

3.平成22年7月に国土交通省が策定した「事業用自動車の運転者の健康管理に係るマニュアル」等を活用し、日頃から運転者の健康状態の把握に努めるとともに、運転者に対し、疾病が交通事故の要因となるおそれがあることについて、事例を説明すること等により理解させ、また、健康診断の結果に基づいて生活習慣の改善を図るなど適切な健康管理を行うことの重要性を理解させること。

 

4.平成19年6月に国土交通省が策定した「『睡眠時無呼吸症候群』に注意しましょう!」等を活用し、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の早期発見・治療の重要性について理解を深めるとともに、スクリーニング検査の受診及び適切な治療の促進を図ること。

 

5.その他、関係法令を遵守するなど、安全管理の徹底を図ること。

 

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【3.「自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会報告書」(平成24年度)の

公表について】

 

国土交通省自動車局に設置された「自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会」

(座長:酒井 一博 公益財団法人労働科学研究所所長)では、事業用自動車の事故の要因について、運行管理その他の観点から、調査・分析を行うとともにその結果を踏まえた再発防止対策の検討を行っており、毎年度その結果を報告書として取りまとめ公表しています。

平成24年度においては、交通事故の傾向分析、特定テーマ「過労運転による事故を防止するための対策」(中間整理)及び平成24年に発生した事業用自動車による社会的影響の大きい重大事故の要因分析を実施し、これを報告書として取りまとめました。

 

 → http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03analysis/examination.html

 

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【4.高速乗合バス及び貸切バスの交替運転者の配置基準の策定について】

 

平成25年3月26日(火)に開催された「高速ツアーバス等の過労運転防止のための検討会」の結果を踏まえ、交替運転者の配置基準に関し、「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について」の一部を改正しましたのでお知らせします。

 

 → http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000134.html

 

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【5.トラックの保有車両数が5両未満の営業所でも運行管理者の選任が必要となります。】

 

貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部改正に伴い、平成25年5月1日より、保有車両数が5両未満の営業所でも、原則、運行管理者の選任が必要となります。

(ただし、経過措置として、この省令の公布の際、現に5両割れ事業者であった者については、平成26年4月30日までに運行管理者の選任を行う必要があります。)

 

○改正貨物自動車運送事業輸送安全規則(平成2年運輸省令第22号)(抄)

第18条(運行管理者の選任)

一般貨物自動車運送事業者等は、事業用自動車(被けん引自動車を除く。以下この項において同じ。)の運行を管理する営業所ごとに、当該営業所が運行を管理する事業用自動車の数を30で除して得た数(その数に1未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとする。)に1を加算して得た数以上の運行管理者を選任しなければならない。ただし、5両未満の事業用自動車の運行を管理する営業所であって、地方運輸局長が当該事業用自動車の種別、地理的条件その他の事情を勘案して当該事業用自動車の運行の安全の確保に支障を生じるおそれがないと認めるものについては、この限りではない。

 

公布:平成25年3月29日

施行:平成25年5月1日

 

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【6.関越道高速ツアーバス事故を受けた「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」について】

 

 平成24年4月29日に発生した関越道高速ツアーバス事故を受けて、国土交通省自動車局では、以下の各検討会を設置し、学識経験者等のご意見を踏まえながら対策の検討を進めて参りました。

 今般、各検討会の検討結果を踏まえ、今後2年間にわたり、「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」を実施することとし、平成25年4月2日に公表しましたのでお知らせ致します。

(各検討会)

・「バス事業のあり方検討会」

・「貸切バス運賃・料金制度ワーキンググループ」

・「自動車運送事業者に対する監査のあり方に関する検討会」

・「高速ツアーバス等の過労運転防止のための検討会」

 

→ http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_002069.html

 

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【7.国土交通省で作成したマニュアルを集約しました!】

 

これまで国土交通省で作成した、「乗合バスの車内事故防止マニュアル」や「トラック追突事故防止マニュアル」など、安全教育・事故防止のためのマニュアルを1つのページに集約しました。

今まで保存箇所がバラバラでしたので、ご存じないマニュアルもあるかと思います。

今回、1つのページに各マニュアルの概要とともに分かり易く掲載しましたので、今後、安全教育などに一層ご活用頂ければと思います!

 

 → http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03manual/index.html

 

〔掲載マニュアル一覧〕

・H24年4月:自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う一般的な指導及

び監督の実施マニュアル

・H24年3月:トラック追突事故防止マニュアル

・H23年7月:乗合バスの車内事故を防止するための安全対策実施マニュアル

・H22年7月:事業用自動車の運転者の健康管理に係るマニュアル

・H21年10月:映像記録型ドライブレコーダ活用手順書

・H20年7月:トラック輸送の過労運転防止対策マニュアル

・H19年6月:SAS対応マニュアル「睡眠時無呼吸症候群に注意しましょう!」

 

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【8.平成25年度事故防止対策支援推進事業を実施します!】

 

国土交通省では、自動車運送事業者における交通事故防止のための取り組みを支援する観点から、平成25年度における事故防止対策支援推進事業を以下のとおり実施することとしましたのでお知らせします。

 

1. 実施する補助事業

 (1) 運行管理の高度化に対する支援

   以下に掲げる機器の取得にかかる経費に対し補助を行います。

  ○デジタル式運行記録計

  ○映像記録型ドライブレコーダー

 (2) 過労運転防止のための先進的な取り組みに対する支援

   以下に掲げる機器の取得にかかる経費に対し補助を行います。

  ○ITを活用した遠隔地における点呼機器

  ○運行中における運転者の疲労状態を測定する機器

  ○休息期間における運転者の睡眠状態を測定する機器

  ○運行中の運行管理機器

 (3) 社内安全教育の実施に対する支援

   自動車運送事業者が事故防止のための社内教育を実施する際に外部専門家によるコンサルティングを利用する場合に対して補助を行います。

 

2.補助事業の内容

  補助対象事業者、補助対象機器、申請方法等補助制度の内容につきましては、国土交通省のホームページの以下のページに掲載されております。

  → http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/jikoboushi.html

 

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【メールマガジン「事業用自動車安全通信」】

発行 国土交通省自動車局安全政策課

*このメルマガについてのご意見は、< jiko-antai@mlit.go.jp >までお寄せください。

よくある質問(配信登録の解除方法等)

( http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/anzenplan2009/faq.html )

 

【参考】

*自動車局ホームページ

( http://www.mlit.go.jp/jidosha/index.html )

 

*自動車の不具合情報はこちら

最近、自動車に乗っていたら異常発生、なんてことありませんでしたか。そんな時は、車検証を用意して、国土交通省「自動車不具合情報ホットライン」に連絡です。

皆様の声は、車種ごとに、ホームページ上で公開され、メーカーがきちんとリコールをしたり、メーカーのリコール隠しを防ぐために活用されます。

・ホームページ受付 ( www.mlit.go.jp/RJ/ )

・フリーダイヤル受付 0120-744-960

(平日9:30~12:00 13:00~17:30)

・自動音声受付    03-3580-4434(年中無休・24時間)

 

*自動車のリコール等の通知等があったときは!

使用されている自動車について、自動車ディーラーなどから、リコール又は改善対策の通知が送付されたり、その対象であることが新聞等で公表されたときは、安全・環境への影響から、その自動車の修理を行うことが必要になったということです。道路運送車両法により、自動車ユーザーは、自分の自動車が保安基準に適合するよう点検・整備する義務がありますので、忘れずに修理を受けましょう。

 

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