燃料高騰対策の推進を求める要望

燃料高騰対策の推進を求める要望

 昨今、異常ともいえる軽油高騰が続く中にあって当業界は極めて厳しい事業経営を強いられております。そのようなことから、平成26年7月10日(木)当協会の金井清治会長は、道路運送経営研究会(トラック業界の全国政治団体)坂本会長の同席の基、自民党京都府連会長 西田昌司参議院議員に対して軽油高騰対策に焦点を絞った要望を行いました。

 中でも、トリガー条項の凍結について、当時の民主党政権に於いて平成23年4月(震災の翌月)に凍結されたままの状況である。現状況を非常事態として、暫定税率部分(32.1円の内17.1円)の課税を停止する措置の凍結解除を訴えました。

燃料高騰対策の推進を求める要望

【要望書】 

 平素は、トラック運送業界に対しまして格別のご指導・ご鞭撻を賜り、厚く御礼申し上げます。

 さて、私どもトラック運送事業者は、国民生活や産業活動を支える公共的物流サービスの担い手として、その重要な使命を果たすべく日夜懸命に努力いたしております。

 規制緩和以降、運賃の下落とコスト増大により、極めて厳しい経営を余儀なくされておりましたが、現政権による積極的な経済政策、いわゆる「アベノミクス」により、荷動きの活発化と運賃の上昇が感じられるようになってまいりました。

 このように、当業界にもようやく明るい兆しが見え始める一方で、一昨年来の円安に加え、イラクにおける内戦の激化など中東情勢の緊迫化も加わって、燃料価格の異常な高騰が続いており、前述した「アベノミクス」効果を打ち消すばかりか、事業存廃の岐路ともいえる危機的状況に陥っております。

 私どもトラック運送事業者としても、徹底した省エネや経費削減に努めるなど、必死に自助努力を続けておりますが、経営収支は悪化の一途を辿るばかりであります。

 つきましては、現下の異常な燃料高騰への対策として、以下のとおり要望いたしますので、何卒格別のご高配を賜りますようお願い申し上げます。

 

[要望事項]

○強力な燃料高騰対策の推進

①幅広い燃料高騰対策補助金の創設

②軽油引取税に係る旧暫定税率の廃止

③燃料価格高騰時の課税停止措置(トリガー条項)の凍結解除

④燃料サーチャージの導入促進

 

【要望事項詳細】

 

1.幅広い燃料高騰対策補助金の創設

◇軽油価格は平成23年以降高止まりの状況が継続しており、今年に入ってからも円安の影響や不安定な中東情勢のあおりを受けて価格上昇が止まる気配がないまま推移している。

 

◇軽油価格が急上昇した平成20年度には、「中小トラック事業者構造改善実証実験事業」として、1次・2次補正合計200億円の補助金が予算措置された。

 

◇昨年来の軽油高騰は、この時期とほぼ同様の水準で推移していたため、燃料高騰対策として平成25年度補正予算において、「環境対応車」助成分25億円、「エコタイヤ」助成分25.2億円の、合計50.2億円が措置されたところである。

 

◇しかしながら、これらの助成は車両台数30両以下の小規模事業者に限定したものであったことから、その効果も限定したものにならざるを得なかったところである。

 

◇また、この補正措置後も燃料の高騰は収まる気配がなく、上昇の一途を辿っているため、再度、更に幅広い事業者を対象とする補助金の創設を要望するものである。

 

2.軽油引取税に係る旧暫定税率の廃止

◇軽油引取税は、道路整備を目的とする目的税であったが、一般財源化によりその課税根拠を失ったことは明白である。

 

◇前述のとおり、軽油価格が円安や産油国周辺の政情不安等による原油価格高騰で一段と上昇していることから、事業存続の危機にあるトラック運送事業者の窮状を救うためにも、旧暫定税率の廃止を強く要望する。

 

3.燃料価格高騰時の課税停止措置(トリガー条項)の凍結解除

◇ガソリン価格の高騰時における軽油引取税の税率の特例規定の適用停止措置(いわゆる「トリガー条項」)は、指標となるガソリン価格の平均が、連続3ヶ月にわたり1リットルにつき160円を超えることとなった場合で、主務大臣の告示により、揮発油税において本則税率を上回る部分の課税措置が停止される場合には、軽油引取税についても本則税率を上回る部分の課税措置が停止されるものである。

 

◇現在の軽油引取税の税額は、1リットル32円10銭であるが、このうち本則税率は15円であるため、燃料価格高騰時に停止される部分は17円10銭となるものである。

 

◇平成23年3月11日に発生した東日本大震災への国税及び地方税上の対応について議論される中、同年4月19日、民主党は当該トリガー条項の取扱いについて、一時凍結の方針を閣議決定した。

 

◇震災の復興事業も着々と進められる中、燃料高騰が社会・経済に与える影響を考慮すると、この際、トリガー条項を適用すべきであり、凍結の解除を強く要望するものである。

 

4.燃料サーチャージの導入促進

◇トラック運送事業者は荷主に対する運賃交渉力が極めて弱く、燃料コストを運賃に転嫁することができず、自らが負担せざるを得ない状況にある。

 

◇燃料価格の高騰による運賃への価格転嫁については、荷主の協力が不可欠であることから、これを確実にするため、荷主団体に対して強力に要請していただくよう要望する。