会長年頭所感

金井会長年頭ご挨拶 平成27年

 新年明けましておめでとうございます。

 輝かしい平成27年の新春を迎え、謹んでご挨拶を申し上げます。

 昨年は、4月の消費税増税に伴う消費の落ち込みが、回復しないままに経過した1年でありました。また、政府による経済再生に向けた政策も中小企業・小規模事業者や地域経済には十分浸透しておらず、デフレ脱却道半ばとされております。

 我がトラック運送業界においても、原油価格の上昇に円安が加わった燃料価格の高止まり、消費税増税後の荷動きの低迷、また車両不足や労働力不足により、懸命の経営努力もむなしく、極めて厳しい経営状況のまま推移しております。

 こうした現状を少しでも打開するため、全日本トラック協会との協調により、思い切った経済・景気対策の推進、過重な自動車関係諸税の改正、更には高速道路料金等の負担軽減に向けた関連諸施策の推進等を、国に対して強く求めてまいりました。

 加えて、当業界が取り組むべき諸課題の解決に向けて、次の対策に取り組んできたところであり、本年においても引き続き一層の推進に努力してまいります。

1.安全対策について

 ドライブレコーダ、ASV装置、その他安全装置等の導入に対する助成事業の充実に努めてまいりました。

 ドライバーの安全に対する意識向上等を目的とした交通安全研修会を開催したほか、トラックドライバーコンテストを開催するなど事故防止への取り組みを行いました。特に、昨年のトラックドライバーコンテストでは、京都府代表として全国大会に出場された選手が、見事、総合優勝(内閣総理大臣表彰受賞)に輝かれ、プロドライバー「日本一」になられるという嬉しいニュースもありました。

 また、今年度も11月から1月末の3ヶ月間、1万人の参加者が無事故無違反を達成すべく、「トラックセーフティラリー」に取り組んでおりますが、ラリー期間中だけでなくすべての期間において、参加者全員が継続して無事故・無違反を達成できるよう一層の努力をお願いいたします。


2.環境対策について

 環境基準を達成した低公害車の導入に対する補助を行うとともに、毎年11月の「エコドライブ推進月間」には、当業界の環境問題への取組を広く啓発するため、一般府民・市民向けに環境関連グッズ等の配布を行う「環境キャンペーン」を展開いたしました。

 また、環境対策委員会が主体となり、京都市左京区の銀閣寺山国有林において、京都府トラック事業青年協議会・女性経営者さつき懇話会の方々の協力の下、子供たちを含む一般市民の方々とスタッフを含めて総勢130名を超える参加により、林業体験(カエデやシデなど約60本の植樹、下草刈り、木工工作)、森の観察等を行い、豊かな自然環境を守る取組を行ったところであります。

 各事業者におかれましても、環境問題への更なる取組をお願いいたします。


3. 労務対策について

 我々のトラック運送事業は、「労働集約産業」であり、ドライバーの労務管理は事業の根幹に関わる重要課題であるため、経営者によるドライバー個々の健康状態を把握、また受診率向上を図るため定期健康診断の受診料金に対する一部補助を行って参りました。更に、労働関係諸法令に抵触するような行為によって、行政からの厳しい指導や訴訟等を回避するため、折に触れて法令遵守セミナー等で周知を図ってまいります。

 また、トラックドライバーの人材不足が深刻化しつつあります。業界の将来を見据えつつ、「大型・中型免許取得助成制度」の活用をはじめ、優秀な人材確保に努めてまいる所存であります。


4.適正化事業実施機関の取組について

 当業界は、平成2年の「規制緩和」により参入規制は緩和されましたが、反面、社会的規制については強化されており、近年では、平成18年「運輸安全マネジメント」の導入、平成21年「事業用自動車安全プラン2009」の導入等、安全に対する取組が強化されてまいりました。特に、昨年は処分基準が改正され、悪質・重大な法令違反(点呼・定期点検の未実施・労働時間(乗務基準)等々)が確認された場合は、30日間の事業停止処分が行われるなど、より一層の法令遵守が求められております。

 皆様にお届けしております「運輸安全マネジメントカレンダー」に加え、現場で使っていただきやすい「点呼ツール」を作成中であり、これらを、運行前・後の点呼時におけるドライバーへの的確な指導・アドバイスに活用していただき、経営者・管理者・ドライバーが一丸となって、安全意識の向上に繋げていただければ幸甚です。

 安全性評価事業(Gマーク)につきましては、京都府下において既に359事業所の認定(25年度末)が行われており、新たに45事業所が申請されております。

 また、書面化等取引の適正化、燃料サーチャージ導入に向けた対応、労働災害防止など、トラック運送事業者と荷主企業等関係者が共有し、連携して取り組むべき多くの課題があることを踏まえ、これらの課題に的確に対応するためのセミナーを開催することとしております。


5.公益法人制度改革に伴う組織・事業の充実について

 当協会は、一般社団法人として出発し1年が経過いたしましたが、組織としてのガバナンスの確率、より公益性の高い事業の推進に加え、公益法人にふさわしい役割を果たすべく、組織と事業の一層の充実を図っていく所存でありますので、会員各位の変わらぬご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。


 本年も、内外の情勢は引き続き不透明で、予断を許さぬ厳しい年になるものと予想されますが、関係行政機関をはじめ各位のご理解とご指導を得ながら、諸課題に迅速かつ的確に対処していく所存であります。

 会員各位のより一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げるとともに、皆様方のご健康と、本年が安全・安心で幸多い年となりますようご祈念申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。

 平成27年 元旦

一般社団法人 京都府トラック協会

会長 金 井 清 治


全ト協 会長 年頭所感

公益社団法人 全日本トラック協会

会  長    星  野   良  三


全国の会員事業者の皆様をはじめ、関係各位には、平素から格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。平成27年の新春を迎えるにあたり、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。


さて、昨年の日本経済はアベノミクスと円安傾向に支えられ一部大手企業を中心に好景気が伝えられました。しかしながら、我々トラック運送業界の経営を取り巻く環境は、4月の消費増税に向けた駆け込み需要で1-3月期は荷動きも活発となりましたが、4月以降は反動により貨物量も減少するなど依然厳しく、高止まりした軽油価格、重い自動車関係諸税、安全対策・環境保全へのコスト負担の増大、運賃の低迷、世界一高い高速料金などが直撃しています。

特に、軽油価格が急激に高騰し、その後の高止まりの影響により、トラック運送事業者の経営は、正に危機的状況の下に推移し、事業存廃の岐路に立たされました。


このようなことから、昨年は、全国の会員事業者の悲痛な声を受け「燃料価格高騰に関する署名活動」を展開しました。全国の会員事業者、一般の方々および関係団体の皆様の多大なご尽力により目標の倍を超える207万人の署名が集まりました。この声を基に、11月13日に「地域社会と国民生活を守るため 平成26年度トラック業界の要望を実現する会」を開催し、200名を超える自民党トラック輸送振興議員連盟および公明党トラック問題議員懇話会所属の国会議員に、トラック運送業界の窮状と要望の実現を訴えました。議員からは国民生活や産業活動を支えるトラック運送事業者への力強い支援の声が相次ぎ、自民党トラック議連と公明党トラック問題議員懇話会の連名により「軽油引取税の旧暫定税率の廃止等税負担の軽減」「高速道路料金における大口・多頻度割引の継続」が決議されました。

高速道路の大口・多頻度割引につきましては、平成25年度補正予算で500億円が措置され、本年3月まで割引率が最大50%まで拡大されておりますが、トラック運送業界の負担を軽減するとともに、ドライバー不足の現状において安定的な輸送を確保するため、自民党ITS推進・道路調査会において、平成28年3月まで大口・多頻度割引を継続することを決議していただきました。

その後、衆議院の解散、総選挙を経て、年末に閣議決定された経済対策には、「燃油高騰対策」、「高速道路料金における大口・多頻度割引の継続」などが盛り込まれ、トラック業界の要望活動が実を結びましたことは、ひとえに決議を採択された先生方、また、熱心に陳情活動などにご尽力いただきました皆様のおかげと心より厚く御礼申し上げます。


さて、平成2年の物流二法施行時の事業者数は約4万者でありましたが、その後は一貫して増加し続け、最近は横ばい状態にありますが、現在では約6万3千者となり、依然として熾烈な競争状態が続いております。このような厳しい経営環境下にあってもトラック運送業界は、法令を遵守し、安全対策の徹底や環境保全に努め、物流の基幹産業として、安心・安全で良質な輸送サ-ビスを提供する社会的使命を果たしながら、より一層「社会との共生」を図っていかなければなりません。そのためには、今後とも全日本トラック協会と都道府県トラック協会の連携を強化し、全会員事業者が一丸となって再生産可能な適正運賃の収受に努めるとともに、過重な負担となっている自動車関係諸税の簡素化・軽減、高速道路や有料道路の通行料金の更なる引き下げ、安全・環境対策への適切な対応など、山積する諸課題に懸命に取り組み、トラック運送業界の社会的地位の向上を図っていかなければならないと思います。


このため、平成27年度は、最重点施策として「参入基準の厳格化等規制緩和の見直しの促進」、「原価管理に基づく適正運賃収受の推進」、「軽油高騰対策の推進並びに燃料サーチャージの導入・価格転嫁の促進」、「交通及び労災事故の防止の推進」、「高速道路通行料金の引き下げ及び割引制度の充実」、「労働力確保のための労働環境の改善及び整備」を掲げ、果敢に取り組んでいく所存であります。

特に、労働力確保のための労働環境の改善と整備については、女性運転者「トラガール」の活躍を後押しする各種施策に取り組んでいくとともに、若年者および高齢者の活躍にも力を入れていきます。同時に人材の育成、教育、能力開発のための諸対策を講じてまいります。

また、交通事故・労災事故防止撲滅運動の推進、貨物自動車運送適正化事業の効果的な推進と輸送秩序の確立、荷主との適正取引の推進などにも取り組みます。

さらに、一層効率的な組織運営を目指すと同時に、諸課題解決と業界要望実現のため、文字通り、会員事業者の視点に立った事務局体制の強化にも努めてまいります。


私は就任以来、都道府県トラック協会の皆様の声を拝聴させていただきながら、燃料高騰対策をはじめとする諸課題に取り組んでまいりました。本年も業界の英知を結集し、トラック運送業界の抱える諸問題解決に向けて奮励努力してまいりますので、関係各位の尚一層のご理解とご協力を賜りますよう、切にお願い申し上げます。

本年も、会員事業者皆様方の社業のますますのご発展と、ご健勝並びにご多幸を心より祈念し、新年にあたり私の挨拶といたします。


平成27年元旦


平成26年 全ト協 十大ニュース

公益社団法人 全日本トラック協会


1.「燃料価格の高騰に苦しむトラック運送業界に係る署名活動」全国で207万超の署名を集める。昨年に続き「トラック業界の要望を実現する会」を開催し、政府与党に対し軽油引取税旧暫定税率撤廃、高速道路料金大口・多頻度割引の継続など3点を強く要望。燃料高騰対策でトラック議連が決議


1.燃料高騰に苦慮するトラック運送事業者のために平成25年度補正予算で総額52億円、平成26年度予算では61億円計上され、先進環境対応車およびエコタイヤ、EMS機器、アイドリングストップ機器等に助成


1.高速道路料金の大口・多頻度割引、平成26年度に限り最大5割へ。平成25年度補正予算で500億円措置、トラック業界へ配慮


1.貨物運転免許に新区分 中型免許制度見直しへ、若手労働力確保へ光明


1.新規参入規制厳格化を求め、国交省に「トラック運送事業の新規許可手続要件の見直し等に関する要望書」を提出。国交省で見直し検討開始


1.死亡事故増加傾向を受けて緊急特別安全キャンペーンを実施。全国で緊急事故防止大会を開催するなど関係者の努力が実を結び、11月末には死亡者数が対前年比で減少に転じた


1.2月の大雪、8月の豪雨など災害に対して緊急物資輸送で対応。8月1日には、団体として初めて災害対策基本法に基づく指定公共機関の指定を受ける


1.有事の際の中央司令塔として防災・研修機能を有した「全日本トラック総合会館」(全日本トラック防災・研修センター)が竣工


1.安全性評価事業「Gマーク」認定が初めて2万事業所を超え、21,125事業所へ。ラッピングトラックのPR走行順次拡大へ


1.引越事業者優良認定制度がスタート、301事業者(1,739事業所)を認定